嫁の肺ガン闘病記&夫の介護記

肺ガン発覚〜闘病〜入籍〜再発 ALK肺ガン嫁とその夫の記録

主治医について

夫です。

 

今年の正月ごろの話になります。

 

当時はローブレナの効果がなくなって次の治療の選択が必要な状況になっていました。

主治医と妻と私で談話室で今後の治療について話をしていた時を思い出します。

 

唐突に妻が「先生が私なら次どの治療する?」(割と妻と先生はフランクなんです。。)と尋ねました。

 

医療に精通している先生ですし、いわゆる「お金持ち」でもありますから、さぞ非合法な手段や海外の高価な新薬を試す、みたいな答えがあるのかなーと私は推測しましたが、意外にも先生は

「もし僕がガンになったら特別な治療はしません。僕は自分の家の畳の上で眠るように逝きたい。」と言うのです。

私と妻は意外な答えに少し驚きました。

 

「人が寿命を終えるというのは、『当たり前にできること』や『当たり前にもっているもの』を一つ一つ手放していくということなんです。僕は一年もあればその準備ができると思うんです。」

 

「例えば、毎日当たり前のように乗っている愛車を手放す。次に当たり前のようにしていた趣味のスポーツをやめる。次に親しい人との交流を手離す。というふうに、最終的には歩くことや家族を手離す。それが人が寿命を全うする事だと思うんです。」

と言うのです。

 

毎日いくつもの命と向き合っておられる命の達人のこの話を、私が真に理解することは難しかったのですが、この話を聞いて、なんとなく穏やかな気持ちにはなれたことを覚えています。

 

元旦の朝でさえ妻の病室に様子を見に来てくださったこの先生は、今や妻にとって絶大な信頼を寄せる先生となっていることは間違いありません。