嫁の肺ガン闘病記&夫の介護記

肺ガン発覚〜闘病〜入籍〜再発 ALK肺ガン嫁とその夫の記録

気管切開、人口呼吸器開始

夫です。

 

6日前の2/8(日)のことです。

妻は呼吸苦で、数日間夜ろくに眠れない状態が続いていました。意識的に肩で息をしないと酸素が保てない状態で、眠ると呼吸する力が弱くなるためか、苦しくて直ぐ起きてしまうからです。

また、咳が酷く、少し動くだけで、横になるだけで、話しをするだけで、水を飲むだけで咳が止まらない状態でした。咳がでると呼吸ができないのでさらに酸素が下がりかなりつらそうでした。

また、食事はなんとか頑張っておじやのような柔らかいものを少しずつ食べていました。全く食欲はありませんでしたが、点滴での栄養補給だと水分が多く、癌性リンパ管症による肺水腫が悪化し、さらに呼吸がつらくなるので、なるべく口から食べるよう努力していました。ただ、もう、数週間前から血便というより下血といった方がよいほど、便を出すときに多量の血が出ていました。腹水がたまり始めていることからしても、お腹に癌の影響が出ているのはあきらかでした。食事も限界だと思われました。

主治医からは事前に、今週にも気管切開して人口呼吸器をつけないと呼吸苦で眠ったときに意識が戻らなくなる可能性があること、また人口呼吸器をつけた方が本人にとっても呼吸が楽だろうということ、人口呼吸器は圧力で肺の中にたまった水を押し出す作用があることから肺水腫の治療として使われているということ、ただ言葉ははなせなくなること、など、きいていました。また、主治医としては人口呼吸器をつけたタイミングで強い鎮静剤を打って眠らせた状態を保つことを薦められました。その方がまずなにより苦しくないということと、また副作用による妻の負担を気にすることなく癌治療ができるとのことでした。主治医はまだ治療を継続する意志を強く持っていました。本来なら緩和ケアに入るような状態でしたが4月からアルンブリグ(ブリガチニブ)がつかえるだろうとうこともあってのことだとおもいます。

妻に人口呼吸器のことをなるべく穏やかに伝え、とてもつらい決断だけれども、どうしたいか訪ねました。妻は人口呼吸器をつけることについては、もう息が苦しくて仕方ないのでつけてほしいといいました。ただ、眠らされたくはないとはっきり言いました。

そのことを主治医につたえると、日曜日なのにすぐ主治医がきてくれて、すぐに気管切開と人口呼吸器の装着が始まりました。主治医は喉の跡が残らないようになるべく丁寧に切開すると妻に優しく言いました。

施術がおわって、簡易麻酔が切れる頃、主治医から特に問題なく終わりましたとのことで、妻に面会が許可されました。

 

妻の様子をみた私は絶句しました。

 

トントントントンという音がします。

 

咳がとまらないのです。

しかも、咳をしようがなにをしようが呼吸器は気管から空気を注入してきます。だから、咳をしても空気がそとにだせず、トントントントンという異様な音がするのです。妻は涙を流しながらその苦しみに悶絶していたのです。

私はその拷問のような状況から一秒でも早く妻を解放しなければと思いました。もう話すことが出来ない妻に「眠らせてもらって楽にしてもらおうね」といいました。妻は悶絶しながら大きくうなずきました。

 

直ぐにかなりつよい鎮静剤(ミダゾラム)とモルヒネのような鎮痛剤(フェンタニル)が投与され、妻は眠りました。点滴のカテーテル挿入でさえつらいものなのに、気管を切開して太い管を入れっぱなしにする苦痛は想像を超えるものなのだと知りました。

 

そのあと、主治医といつまで鎮静状態(眠った状態)にしたほうがいいのか話をしました。

家族としてはもう決して苦痛を妻に与えたくないという思いしかありません。一方で妻は眠りたくないとはっきりいっていました。

主治医との話の結果、苦痛が和らぐまで数日から一週間ほど鎮静状態を保つことになりました。

 

それから3日後の水曜日まで鎮静状態が続きました。

 

2/10水曜日の4時頃、妻がめをさましました。主治医がこのまま眠りたいか眠りたくないか妻に意思確認をしました。

妻は「眠りたくない」とはっきり頷いたそうです。

苦しくないか痛くないかという確認にも「くるしくない。痛くない」とうなずきました。

それから鎮静剤の投与量をすこしさげ(鎮痛剤はそのまま投与)、妻はほぼ覚醒しました。

妻に一番つらいのは何かと訪ねると痰がでると息が苦しいということ(声はでないのでスマホでの回答です)、その痰をとるための気管吸引が耐えがたいくらいつらいといいます。気管吸引とは喉の呼吸器の入り口から気管枝の分かれ目まで15センチほど細い管を気管に入れて掃除機の要領で痰を取り出す作業です。肺水腫と癌のため、直ぐに痰があがってくるのでこの作業は昼夜を問わず1,2時間に一度は必要になります。

気管に管をいれらる苦痛は耐えがたいものです。気管吸引のたびに嗚咽するように咳き込み苦しんでいます。この苦痛だけは何とかしてあげたいのですが鎮静剤を増やして朦朧とさせる以外手段がないのだそうです。妻は意識を保ちたいといっているのでそれも難しいところです。

人口呼吸器をつける前の全体的な苦痛を10とするなら今の苦痛はどのくらいかと妻に尋ねると7ぐらいだといいます。やはり呼吸が出来るようになったのが楽に感じているようです。ただ、気管吸引時の苦痛は100だといっています。  

 

今日2/13土曜日の状態は、何とか意志疎通(スマホのテキスト読み上げアプリを使用して)が出来る状態です。痰があがってこないときは呼吸は安定しています。栄養は点滴のみですが少しアイスクリームやプリンなどをたべてます。

 

一つよい知らせがあります。

 

1/30の腫瘍マーカ(CEA)は580ほどでしたが、2/5にヤーボイ、オプジーボ、アリムタ、ガルボプラチンを入れた2日後、2/7の検査でマーカは480くらいに下がっていました。主治医からは免疫チェックポイント阻害薬はそんなにすぐに効かないのでどれが効いているかわからないとのことでした。アリムタ+プラチナ系はもう4回目の投薬なのでこちらも効きは悪いはずだからです。このまま下がり続けてくれることを祈るばかりです。